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ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進

基本的な考え方

artienceグループは、「サステナビリティ憲章」に「サプライチェーン全域での人権と多様性の尊重」を明記するとともに、「人材マネジメントに関する基本方針」(2024年5月10日制定)「DE&I推進に関する方針」(2024年8月1日制定)を定めて、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を企業として取り組むべき重要な課題の一つとしています。性別や国籍、年齢、障がいの有無に関わらず多様な価値観・考え・発想を尊重するよう努め、やりがいを持って働くことのできる職場づくりを目指しています。

「人間尊重の経営」をCorporate Philosophy(経営哲学)に掲げるartienceグループ(以下、「当社グループ」という)にとって、人材は最も重要な資本であり、社員一人ひとりが能力を存分に発揮する環境を整え、組織の成果を最大化することは、当社グループの持続的成長に不可欠です。
社員は一人ひとりが異なる特徴や個性、バックグラウンドを持った多様な存在であり、それぞれの考え・想いをもって職務を遂行しています。社員の「目に見える外見的な特徴」だけでなく「目に見えない内面的な特徴」についても互いに認識し、共に学びを深めていくことで、当社グループのさらなる企業価値向上に資するDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を実践します。

artienceグループが考えるDE&I

  • ダイバーシティ(Diversity;多様性)
    ダイバーシティとは、さまざまな人たちが集まって、一つのチームとして共存している状態のことです。ダイバーシティは、イノベーションを創出し組織を成長させる素地となり、組織の持続可能性を高めると考えます。
  • エクイティ(Equity;公平性)
    エクイティとは、すべてのメンバーが業務活動に必要な情報やツール、コミュニケーション手段に確実にアクセスでき、等しくメリットやチャンスを受け取れる状態のことです。社会に存在する不公平な構造を認識し、メンバーそれぞれの「違い」や状況に配慮して対応を多様化することが、組織の公平性を担保します。
  • インクルージョン(Inclusion;包摂性)
    インクルージョンとは、心理的安全性の高いチームの中でメンバーの誰もが安心感と自信を持ち、互いに受け入れられている状態のことです。そのような環境で個人の能力が最大限発揮されることにより、組織の力は最大化・相乗化されます。

DE&I推進において取り組むべき課題

(1) 経営戦略への組み込み
経営トップのコミットメントのもと、DE&Iに関する目標(KPI)を設定し、その実現に必要なロードマップを策定します。KPI・ロードマップは、当社グループの経営戦略として実行と見直しを進めます。
(2) 全社DE&I推進体制の構築・運用
取締役会を監督者とし、経営トップのコミットメントに立脚する、グループ全社をカバーするDE&I推進体制を構築し、実務組織やグループ各社と連携して取り組みます。また、この体制を継続的に改革し、実効性の向上に努めます。
(3) ガバナンス改革によるDE&I経営の強化
取締役会の経営監督機能を高めるため、取締役会の構成員のジェンダー、国籍、バックグラウンド、専門性などに関して必要充分な多様化が確保されているかを検証します。
(4) 多様な人材と働き方に向けた制度改革
社員の誰もが自身の特徴や個性、バックグランドに制限されず、自身の能力を活かして活躍できるように、人事制度を継続的に改革します。多様な社員の生産性・創造性を最大化するため、多様な働き方の実現に取り組みます。
(5) 行動・意識改革に向けた教育・育成
当社グループ内のあらゆる組織においてDE&Iを定着させるため、社員の各階層に応じた研修やワークショップを反復的に実施します。
(6) ステークホルダーコミュニケーション
当社グループの求める多様な人材に的確に訴求するため、発信と対話を効果的に実施します。またDE&I経営の取り組みを投資家層に発信し、企業価値向上に寄与します。

本方針の適用範囲について

本方針は、当社グループを構成するすべての会社およびすべての組織に適用されます。同時に、当社グループの役員、顧問、社員、契約社員、パートタイマー、派遣社員ほか当社グループの業務に従事するすべての人(総称して「役職員等」という)に対しても適用されます。

本方針の改廃および管理について

当社グループは、適用される法令等の改正や社会環境の変化に伴い、本方針を適宜改定します。
また、本方針の改廃事務等を行う所轄部署は、artience株式会社のDE&I活動を統括する部門とします。

2024年8月1日 制定(2024年7月24日サステナビリティ委員会にて承認)

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推進体制

artience(株)グループ人事部を主体とした活動から、2021年9月の部門横断メンバーからなるダイバーシティ推進プロジェクトを経て、2023年1月、グループ人事部の直下にD&I推進室を新設しました。さらに2024年1月には、組織の名称をDE&I推進室と改め、よりエクイティの観点を強調し活動しています。DE&Iの本質とは構造的差別をなくすことにあると考え、一律ではない個々に必要なサポートを通し、多様な社員の活躍につながる制度・仕組みの検討、教育研修の企画・実施、社内外への情報発信と風土の醸成を推進します。
また、拠点に適した推進方法の検討・実施と推進活動(推進月間)を行うDE&I推進委員と、ALLY(アライ)に賛同したALLY(アライ)メンバーがDE&I推進室と連携しながら活動しています。

DE&I推進体制(2025年度)
DE&I推進体制(2025年度)
DE&I推進体制(2025年度)

取り組み

DE&Iの取り組みの変遷

性別や国籍、年齢、障がいの有無に関わらず多様な価値観・考え・発想を尊重し、社員一人ひとりがやりがいを持って働くことのできる職場づくりを目指し、多様な働き方を推進しています。

DE&Iの取り組みの変遷
DE&Iの取り組みの変遷
DE&Iの取り組みの変遷

女性の活躍推進

前中期経営計画SIC-Ⅱにおいて女性管理職比率(国内)を2020年度の4%から、2024年1月に8%とする目標を設定し取り組みを進めてきましたが、グループマテリアリティ2025-2030においてKPIを2030年女性管理職比率10%と定めました。今後さらに女性の働きやすさやキャリア形成の支援を行っていきます。
2024年3月8日の国際女性デーには当社で活躍する国内外の女性社員にインタビューを行いました。これまでのキャリアや女性活躍推進が進むなかで感じる変化、これからキャリアを築く女性へのメッセージなどをインタビューし、電子社内報などでグローバルに公開しました。
5月には当社グループにおける女性の健康に関するヘルスリテラシーの向上に向けて、役員・部門長を対象としたセミナー「PMSと月経困難症に関するセミナー」を行いました。愛育病院名誉院長である安達取締役に医学的な観点から講演いただきました。女性社員からは「なかなか聞けない女性の身体全体の機能や病気の背景・原因などの話を医学的に説明いただき、非常に理解が進んだ」、男性社員からも「男性にとっては実感のない症状ばかり、また個人差も大きい。女性への当然の配慮、思いやりが欠けていたと反省した」などの意見がありました。その他「不妊治療に関する理解促進セミナー」を開催するなど健康課題に関する社内の理解促進に努めました。
女性部下を持つ直属の上司向けにはダイバーシティマネジメント研修を実施し、アンコンシャスバイアスの再認識や部下の多様な個性を引き出すヒントを学びました。女性本人に対してはキャリア座談会やランチ会の開催により、主体的なキャリア形成や女性同士のネットワーク形成の機会となりました。
また、2022年度より組織階層におけるチーム制度を導入しています。小さい単位での早期マネジメント機会を創出することで、グループ全体のマネジメント力強化を図っていきます。

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
新卒女性採用比率(国内)※1(%) 32.1 32.7 32.5 37.0 42.0
女性管理職比率(国内)※2(%) 3.9 4.5 4.5 5.5 5.8
  • ※1 各年度4月入社の新卒女性採用比率
  • ※2 各年度翌年1月時点

「えるぼし」認定を受けています

えるぼし認定ロゴマーク
artience(株)は、女性の採用、継続就業、労働時間、多様なキャリアコースに関する実績が評価され、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定を受けています。

男女賃金格差に関する取り組み

当社グループ(国内)※では、従事する役割(職務)に応じた賃金制度を適用しており、同一役割における性差による処遇差はありませんが、統計分析の手法を用いて年齢・学歴・勤続年数の影響を排除したうえで男女の賃金の差異を計算したところ、管理職社員については統計的に有意な差異は認められませんでしたが、非管理職(一般社員)については87.5%という差異が確認されました。これらの状況を踏まえ、差異となっている要因の分析も行い、各種施策を進めています。

  • 連結および非連結子会社が対象範囲
  • 男性育休の取得の支援

ダイバーシティ教育・啓発活動

2023年度は、D&I推進室発足初年度として推進室のメンバーが国内の各拠点を訪問し、当社グループのこれまでのダイバーシティ関連の取り組みの紹介とともに、各拠点での実際の課題感や社員の声をヒアリングしました。これまで見えていなかった各拠点ならではの課題や、働くなかで感じる課題など、生の声の抽出につながり、今後各拠点の推進委員と連携してDE&Iを推進していく足がかりとなりました。
2024年度は、国内の複数拠点でDE&I推進に関する説明会の開催や、拠点推進委員が一堂に会する推進委員全体ミーティングを開催し、各拠点でのDE&I推進に関する取り組みや課題感の共有などを行いました。

LGBTQ(SOGI)+への理解と対応

当社グループでは、LGBTQ+を含む誰もが安心して働くことのできる多様性を尊重した職場づくりを目指しています。LGBTQ+に関わる差別を禁止した規程・方針の制定、同性パートナーや事実上の配偶者が福利厚生を利用できるパートナーシップ制度の導入、LGBTQ+に対する理解を深めるための社内研修の実施、LGBTQ+に関する基礎知識および当社グループでの制度や取り組みをまとめたガイドブックの作成など、さまざまな取り組みを行っています。
また、6月のPRIDE月間ではPRIDE仕様にした当社グループのパワーポイントとオンライン会議用背景の制作や、外部講師を招いたセミナー「LGBTQ+とハラスメント、ALLY(アライ)について」を開催しました。
2024年11月、多様性に対する理解促進やALLY(アライ)の輪を広げるための勉強会の定期開催や、誰もが平等に扱われるインクルーシブな職場・社会づくりを目指す「Business for Marriage Equality」、「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言 Business Support for LGBT Equality in Japan」への賛同を行うなどの取り組みが評価され、職場におけるセクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価する指標のPRIDE指標で「ゴールド」に3年連続で認定されました。

TOPICS
婚姻の平等を推進する「Business for Marriage Equality 」に賛同
Business forMarriage Equality のロゴ
2023年7月、当社グループは日本国内の婚姻の平等(同性婚の法制化)を推進する「Business for Marriage Equality」への賛同を表明しました。
  • Business for Marriage Equality(bformarriageequality.net )は公益社団法人Marriage For All Japan、NPO法人LGBTとアライのための法律家ネットワーク、認定NPO法人虹色ダイバーシティが共同で運営しており、婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業を可視化するためのキャンペーンです

多様な社員が活躍する職場づくり

障がい者の活躍推進

artience(株)は障がい者の長期的な就労の実現に向けて2019年より知的障がい者の雇用を始め、グループ総務部十条センター内の「クローバーサポートセンター」でオフィスサポート業務を担当してきました。2023年には十条センター以外への職場拡大も見据え、本社で初めてインターン生の受け入れを行いました。2024年1月にはさらなる職場拡大・雇用促進を目指してクローバー・ビズ株式会社※を設立し、7月に特例子会社の認定を受けました。同年4月には2023年に受け入れたインターン生のうち2名が入社し、これまでの十条センターに加え、本社でも名刺作成、メール便の集配、書類の電子化、データ入力、共有スペースの消毒作業など、主にオフィスでのサポート業務を担っています。また、新たな取り組みとして、埼玉製造所内で社員が着用する作業着クリーニングの内製化を進めました。ここでは、クローバー・ビズの新入社員が業務を担うため、複数回のインターンを繰り返し、2025年4月からの本格稼働に向けた準備を行ってきました。今後も雇用の拡大を進め、多様な人材が活躍できる機会の創出に取り組んでいきます。国内の障がい者雇用率は、2024年度2.57%です。

  • 新会社クローバー・ビズの「クローバー」は幸せを運ぶ4つ葉のクローバーをイメージし、サポートセンター設立時に社員の提案により名付けました

シニア世代の活躍推進

生涯現役社会において社員一人ひとりが役割を発揮し続けることを目的に、2018年9月より、国内の正社員を対象に定年年齢を63歳から65歳へ延長しました。キャリア形成の支援策として、働きがいの継続につながるキャリア教育や、シニア世代に配慮した職場環境の整備、健康増進などにも取り組んでいます。
2024年は会社や業界から離れた外の世界と触れ合いながら、これまで歩んできたキャリアを振り返り、今後のキャリアを考える機会として、ニューホライズンコレクティブが運営する「Life Shift Platform(LSP)」への参加を地域限定でトライアル実施しました。事前の「ライフシフト講演会」には70名以上が参加し、本申し込みをした社員の中から抽選で3名を6か月間派遣しました。電通を中心としたさまざまな企業出身の方とお互いに支え合い、刺激し合いながら活動し、自身のキャリアを考える機会になりました。

外国籍社員の活躍推進​

国内においては、外国籍の社員(約40名)が語学力やグローバルな感覚を活かしてさまざまな部署で活躍しています。

地域の宗教の配慮​

当社グループは、地域の宗教に配慮してグローバル展開を進めています。イスラム圏では、Halal(ハラル)認証の取得を進め、イスラム法の食事規程に対応したパッケージ製品などを提供しています。また、イスラム教徒のために工場内にMusholla(ムショラ)という礼拝場所を設置、断食月(ラマダン)への対応も図っています。
PT. TOYO INK INDONESIA(インドネシア)では、インドネシアの文化を尊重し、福利厚生の一環としてモスク(礼拝堂)を建設しました。モスクは近隣の会社の従業員や地域住民にも開放しています。

育児支援

介護支援